長年を共に歩んでこられたお二人にとって、退職後の夫婦旅は、何物にも代えがたい宝物のような時間ですよね。
特に、温泉の湯に浸かりながら日頃の疲れを癒し、思い出話に花を咲かせるのは至福のひとときです。
ですが、「昔のように無理がきかない」「足元がおぼつかなくて転倒が心配」「車椅子を使うので、宿の段差が気になる」…そんな不安から、せっかくの旅行を躊躇している方もいらっしゃるのではないでしょうか。
ご心配なく。最近の温泉宿は、そうしたお客様の声を真摯に受け止め、心身ともにゆったりと過ごせるような工夫を凝らしています。
当記事では、長年、シニア世代のご夫婦の旅をサポートしてきた私が、関東エリアで特にこだわりのあるバリアフリー温泉宿をどのように見つければ良いのか、そのポイントを丁寧にお伝えします。
温泉旅館と聞くと、玄関での履き替えや、畳の部屋、複雑に入り組んだ廊下を想像されるかもしれません。
しかし今は、玄関からロビー、客室に至るまでスロープや手すりを設置し、車椅子での移動がスムーズな宿が増えています。
大浴場が苦手な方のために、プライベートな空間で湯を楽しめるお部屋付き露天風呂や貸切風呂も人気です。
旅行の成功は、事前の準備にかかっています。
「杖があれば安心」「車椅子が通れる廊下が必須」「浴槽に出入りする手すりが欲しい」など、お二人の状況に合わせて選び方を変えることが大切です。
この記事が、お二人のこれからの人生を彩る、かけがえのない旅のきっかけになれば幸いです。
60代からの夫婦旅へ。関東で心からくつろげるバリアフリー温泉宿の選び方
「バリアフリー」という言葉が示す内容は、宿によって多種多様です。
単に「段差がない」という表面的な部分だけでなく、本当に心安らぐ時間を過ごすためには、いくつかの細かな点を見落とさないことが重要です。
特に、ご夫婦での旅行では、お二人がそれぞれのペースで安心して過ごせるかどうかが、旅の充実度を大きく左右します。
この章では、私自身の経験に基づき、シニア世代のご夫婦が「ここに来てよかった」と心から思える宿を見つけるための秘訣をお伝えします。
スムーズなチェックインから、心地よい滞在、そして名残惜しいチェックアウトまで、ストレスなく過ごすための第一歩として、まずは館内設備に目を向けてみましょう。
段差のストレスなし。宿全体で安心できる動線の見つけ方
心置きなく旅を楽しむためには、客室だけでなく、館内全体の動線がスムーズであることが何より大切です。
ゆったりと過ごすためには、やはり和室よりも、ベッドと椅子が備え付けられた「和洋室」や「洋室」がおすすめです。
座ったり立ったりする動作が楽になり、心身の負担が大きく軽減されます。
車椅子をご利用になる場合は、客室への入り口や、お手洗い、洗面所が十分に広々としているか、事前に確かめてみましょう。
これまでの多くの旅行者の声を聞いていると、「狭い廊下や小さな段差が、想像以上に心と体の負担になった」という感想が少なくありませんでした。
だからこそ、私たちが最も重要視するのは、「無理なく歩き、移動できること」です。
例えば、エレベーターが設置されているか、廊下の幅は車椅子がスムーズに通れる広さか、大浴場まで遠回りせずにたどり着けるかなど、宿全体の動線を予約前に公式サイトや電話で確認することをおすすめします。
お手洗いや洗面所も、滞在中の快適さに直結する重要なポイントです。
手すりがしっかりと付いているか、車椅子が方向転換できる十分なスペースがあるか、緊急時に備えた呼び出しボタンがあるかなど、細部まで配慮が行き届いている宿は、旅を安心して楽しめる可能性が高いです。
また、お風呂への出入りが楽なように、浴槽に段差がない設計や、シャワーチェアを貸し出している宿を選ぶと、さらに安心です。
こうした情報は、公式サイトの「バリアフリー対応」ページで確認できますので、ぜひご自身で確かめてみてくださいね。
二人だけの贅沢な時間。プライベートな温泉空間の楽しみ方
ご夫婦での旅行の醍醐味は、誰にも邪魔されない、二人きりの時間を満喫することではないでしょうか。
それは温泉宿においても同じです。
「大勢で入る大浴場は気が引ける」「転倒が心配でゆっくりできない」といった不安を抱く方にとって、「貸切風呂」や「客室付き露天風呂」は、まさに理想の選択肢です。
ご夫婦だけの特別な空間で、心ゆくまで温泉の恵みを享受できます。
特に客室に露天風呂が備わっていれば、お部屋から直接湯に浸かれるので、移動の負担がほとんどありません。
万が一の時にもすぐに休める安心感は、何物にも代えがたいものです。
関東地方には、美しい景色を独り占めできる露天風呂付き客室や、プライベートな空間でゆったりと湯を楽しめる貸切風呂を提供する宿が数多くあります。
例えば、箱根の『箱根吟遊』
のように全室に渓谷を一望する露天風呂が付いている宿や、稲取の『稲取銀水荘』
のように家族風呂が利用できる宿は、特別な記念日にもぴったりです。
最新情報や料金については、必ず各宿の公式サイトで直接ご確認ください。
こうしたプライベートな温泉は、旅の疲れを癒してくれるだけでなく、夫婦の絆を一層深めてくれる特別な場所となります。
宿によっては、貸切風呂にも手すりや段差をなくす工夫が施されているところもありますので、予約時に確認してみると良いでしょう。
大浴場のご利用に不安がある方は、ぜひ客室露天風呂や貸切風呂のある宿を検討されてみてはいかがでしょうか。
温泉は血圧に影響を及ぼす場合もありますので、入浴の前にはしっかり水分を摂り、体調に合わせ無理のない範囲でお楽しみくださいね。
よくある質問
バリアフリー宿の探し方のコツを教えて
オンラインの旅行予約サイトで「バリアフリー」や「ユニバーサルデザイン」と検索するのが最初のステップです。次に、気になる宿の公式サイトを訪れ、「館内施設」や「客室」のページをチェックしましょう。写真や詳細情報が掲載されていることが多いです。そして、最も確実なのは、実際に宿に電話をかけて「車椅子を使いますが大丈夫ですか？」など、具体的な状況を相談することです。
車椅子でも大丈夫なお風呂ってある？
はい、ございます。最近では、車椅子での利用を想定し、脱衣所から浴槽までスロープを設けたり、複数の場所に手すりを配置した温泉施設が増えています。大浴場の利用が難しい場合は、車椅子ごと入れる広さの貸切風呂や、お部屋に露天風呂が付いている宿を探すのも良い方法です。予約前に、公式サイトの情報を確認するか、直接宿に問い合わせてみましょう。
旅先で困らないための準備は？
最も大切なのは、お二人の体の状態に合わせて、必要な設備を具体的にリストアップすることです。たとえば、「杖を使うので手すりは必須」「車椅子が通れる廊下の広さが必要」など、具体的な条件を洗い出しましょう。そして、予約前に宿の公式サイトや電話で、希望する設備が本当に備わっているか、最新の状況を確認することが、旅の失敗を防ぐ一番の近道です。
まとめ
関東には、ご高齢のご夫婦が安心して旅を楽しめるバリアフリーの温泉宿が、私たちが想像する以上にたくさん存在します。
旅の成功の鍵は、「どのような配慮が自分たちにとって必要か」を事前に把握し、丁寧な情報収集を行うことです。
客室の居心地、館内を移動する際の安心感、そして二人きりの特別な時間を過ごせるか、といった点をチェックすることで、旅の満足度は格段に向上します。
この記事が、お二人の旅の不安を少しでも和らげ、心に残る素晴らしい思い出を作る手助けとなれば幸いです。
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